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庭木の害虫退治 〜殺虫剤の使用は慎重に〜

 「庭にはおいしそうなごちそうがいっぱい」とあまたの害虫どもがほくそ笑んでいます。言うまでもなく、餌食となるのは大切な庭木です。


 イラガやチャドクガ、アメリカシロヒトリ、ハマキムシなどは葉を食べようと虎視眈々。アブラムシ、カイガラムシ、ハダニなどは樹液をすすろうと舌なめずり。スカシバ、シンクイガ、カミキリムシなどは幹や枝の内部に潜り込み旺盛な食欲を発揮します。カブトムシやコガネムシの幼虫といった、見えないのをいいことに地中に潜んで根を食らうけしからんやつらもいます。当然、私たちだって黙って害虫どもの好き勝手にさせておくわけにはまいりません。

 害虫防除には、何よりも庭木の生育環境を整えて害虫を寄せつけない丈夫な体をつくることから始めることが大切です。まず込んでいる枝葉はすっきりと整理して日当たりと風通しをよくしましょう。光と風は虫封じとなるのです。

 また、冬場に石灰硫黄合剤を散布して消毒しておくと効果的です。これはウドンコ病などの病気の予防にも効き目があります。実際、冬に石灰硫黄合剤をまくと、その年は病害虫が発生しないと言われています。なぜ冬に行うかというと、冬は庭木の休眠期で、多少強い薬を使っても生育に直接影響を与えないからなのです。

 それでも害虫が発生したら殺虫剤を使用します。最近は薬害の問題から薬剤の毒性が弱くなっていますので、2度がけすると効果的です。それでもだめなら3度がけ、とにかく完全に抹殺します。ただし害虫はだんだんと薬に対する抵抗力がついてくる場合もありますので効き目がない場合は薬剤の種類を変えてみることも必要です。

 なお、大がかりな散布でなく、ちょっとした害虫駆除の場合でも薬品の扱いには慎重過ぎるほど慎重にする必要があります。薬剤を散布するときは、体全体をすぐに洗える衣服ですっぽりと覆い、必ずマスクをし、作業は常に体を風上に置くようにして自分に薬剤がふりかからないようにしなくてはなりません。散布後は必ず手足をよく洗います。 

 また散布中にひと休みして煙草を一服なんていうのは禁物です。薬剤が煙草の成分と一緒になって化学変化を起こし、それを吸い込んで気分が悪くなることがあるのです。薬剤は害虫にとって強力な武器となりますが、もろ刃の剣ということをくれぐれもお忘れなく。


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