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庭石の秘められた力 〜景観に加え植物の保護も〜

 先日、長年つき合ってきたお宅が代替わりして、それに伴いリガーデン、すなわち庭の模様替えをして欲しいとの依頼がありました。現在の庭は庭石をふんだんに使った和風庭園なのですが、昨今のガ−デニングブームの影響でしょう、草花を中心とした明るい庭に変えて欲しいとのことで、今ある庭石はすべて引き取ってもらいたいということでした。


 私たちの業界では最近このような依頼が増えてきています。リガーデンはいいのですが、いらなくなった庭石や灯籠などを引き取れと言われても、置き場所が確保できませんし、廃棄処分にするにしても結構な費用がかかってしまうのです。お客さんとのトラブルはなるべく避けたいですし、ほとほと困ってしまいます。

 そこで、私たちはできるだけ既存材料を生かしたリガーデンを提案しています。 
 庭石を生かした今風のガーデニングも十分可能です。例えば、十数個の石を使って石組みを行い、石に添えて可憐な草花をそこかしこにあしらえば、ロックガーデン風の美しい庭が完成します。

 たとえ、たった1石のみでも、ポイントにさりげなく据えることにより、強く視線を引きつけ庭全体の景観を引き締めます。石は庭の景観をつくるうえで実に効果的な素材なのです。

 景観をつくるだけではありません。庭石には植物の生育を助けるストーンパワーが秘められているのです。

 冬場は、夜冷え込んでも、日中にじっくりと温まった石が急速に冷めることなく、熱を放射して土を必要以上に冷えないようにして草木の根を守ります。その証拠に寒い冬の朝、地面に白く霜柱が立っているのに、庭石の周りには霜柱が立っていないという光景をよく見かけることと思います。石が湯たんぽのような役割をしているのですね。夏場は日照りで土が熱くなりますが、水やりを行うと、石と土のわずかなすき間に水の通り道ができて地中深くまで水が浸透し、土の乾燥を防いでくれます。石は適度な保温性と保湿性を持ち植物を保護しているのです。

 石組みは永々と培ってきた伝統的な日本庭園の手法であり、その歴史の重さがあるがゆえに、現代のような住宅の庭にはマッチしないのでは、という固定観念がついて回っている気がします。石組みを巧みに取り入れたガーデニングなどは、新しいわが国の庭園スタイルとして十分に根づく可能性があると思うのですが。


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