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宿根草ガーデンのすすめ 〜ほったらかしでも花が咲く〜

 ここ数年、非常に華やかな庭が増えてきました。私のお客さんのなかにも花壇をこしらえて、思い思いの季節の花を楽しんでいる方が多くなってきました。


 ただ、4月ごろにあるお客さんを訪ねたところ、花は盛りのはずなのに花壇には何も植えられていません。硬くなった土がむき出しの状態でした。奥様のおっしゃるには「1年中花を絶やさないのは意外と大変で、ついつい面倒くさくなっちゃって…」とのことでした。

 ブームに乗ってガーデニングを始めたものの、このお客さんのように面倒くさくなってほったらかしといった方も案外多いのではないでしょうか。

 そんな方のために、宿根草を植えてみることをお勧めします。実はイングリッシュガーデンの主役は宿根草なのです。

 宿根草は多年草とも言い、一、二年草と異なり、一度植えれば、根や地下茎の一部が地中で生き続け、毎年、時期が来ると芽を出して花を咲かせる草花です。ですから植え替えや株分けも2〜3年に一度ですみます。花期を考えて植えれば1年中何かしらの花が楽しめます。また宿根草は一度根を下ろした場所に徐々に順応するため、暑さや寒さ、乾燥にも耐えることができます。一、二年草に比べると、丈夫で管理の手間がかからず、コストも軽減されます。

 宿根草の花そのものはやや地味ですが、それだけに自然風の落ち着いた風情を表現できます。日本の庭でも昔からシャガ、ホタルブクロ、ホトトギスなどの宿根草が下草として使われてきているのです。

 最近人気を集めているホスタという植物をご存じですか? 夏に白や淡い紫の小さな釣り鐘状の花をつけ、葉は、裏が白かったり、覆輪が入ったり、斑が入ったりと、さまざまな品種がある宿根草です。ホスタというおしゃれな名がついていますが、これは日本の山野に自生していたギボウシが欧米で品種改良されたものなのです。日陰に強く丈夫なので、初めての方でも失敗せずに育てられます。庭石にさりげなく添えると風情がでますよ。

 新しく市場に出回っている宿根草のなかには、もとは日本に自生する草花が欧米に渡って改良され、再び日本に戻ってきた品種が少なくありません。実際にイギリスやニュージーランドの庭では、日本でおなじみの草花を多く見かけました。

 イングリッシュガーデンのルーツは、案外、日本の庭にあるのかも知れませんね。


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