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ライトアップで夜の庭を楽しむ 〜樹木への影響を考慮して〜

 光を受けたシダレザクラがあでやかな姿を現し、池の中島が闇の中に幻想的に浮かび上がります。
 東京の六義園では毎年、サクラが咲く春と秋の紅葉のころに庭園をライトアップするイベントを開催しています。私もこの春に見てきましたが、その美しさに息を飲み、しばし夢幻の世界へといざなわれました。



 夜の庭は昼間とまったく別の顔を持っているのですね。仕事がらほとんど明るい太陽のもとで庭と接している私にとって、思いもよらぬ感動がありました。

 最近このようなライトアップが各地の庭園で行われています。東京ではほかに旧古河庭園や浜離宮、京都では高台寺が有名ですね。お住まいの地域の有名な庭園でもライトアップを行っているかも知れませんので、調べて足を運んでみるといいでしょう。

 いや、それよりも、いっそのことお宅の庭をライトアップしてみてはいかがですか。

 光源となるライトを植え込みの中など目立たないところに設置し、対象となる樹木やほかの景物に光を当てると、闇の中にフォルムが浮かび上がり、夜の庭ならではのファンタジーを演出できます。

 ガーデンライトは現在ソーラータイプのものが主流となっています。これは昼間の間、太陽光線を蓄電し、暗くなると自動点灯するので、電気代はかからず、めんどうくさい配線も必要ありません。地面にポールを差すだけでいいのですから楽ですね。

 ただし、樹木をライトアップするときは、光が樹木に与える影響を考える必要があります。樹木の順調な生育には真っ暗な夜の時間が大切なのです。

 電照栽培をご存じのことと思います。夜間に植物に照明を当てて、故意に開花を早めたり遅らせたりする栽培方法で、秋咲きのキクを正月ごろに出荷したり、イチゴやブドウなどの果樹の促成栽培にも利用されています。この例からもわかるように、照明は樹木の開花や結実、芽吹き、紅葉、落葉の時期を狂わせることがあります。実際、街灯わきの街路樹のイチョウが、落葉の時期になっても青い葉を茂らせている光景をよく見かけます。ですから樹木をライトアップするときは、必要以上に強い光を近くから当てないようにしましょう。

 このようなことに注意して、庭のライトアップにチャレンジしてみてください。新しい庭の魅力が発見できることと思います。ご主人の帰宅時間が早くなるかも知れませんね。


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