松枯れ(その3)
今回は防除法について述べる。
防除法にはいくつかの方法が考えられるので、防除したい松の状況によって防除方法を選別する必要がある。ここではそれぞれの一般的に防除されている方法を述べる。
(1)ザイセンチュウを対象に防除する方法
樹幹注入法
薬剤を松樹の中に注入する方法で、防除効果の最も高い方法である。但し、薬剤を注入するため松樹に直径6mm程度の穴を樹幹にあける必要があるので、大切な庭木には心情として忍びないものがある。しかし、1回の施工で効果は4年以上あるとの報告も多く、樹勢は十分回復するので実際はそれほど心配する必要はないと考えている。
薬剤としてはマツガード液剤、グリーンガード液剤等があるが、松にかかる負担を最小限に落とす為には施用量の少ないものが望ましい。
また、庭木のように強剪定を行っている松に施工をする場合は専門家に相談し、施工技術をみにつけてから実施して欲しい。
樹幹注入法は薬剤を松樹の中に入れて、注入口を閉鎖する為に庭の池や隣接地等環境に対して極めて安全な防除方法である。

(2)マダラカミキリを対象に防除する方法
薬剤予防散布法
殺虫剤を松樹の先端に十分量散布する方法であり、地上防除や航空防除が考えられる。但し、庭木等の条件から見て効果の高い航空防除は実施出来ない。その為年に数回、松樹の先端部分に十分な薬液量をカミキリムシの発生する直前から散布し、カミキリムシの食害を防止する必要がある。 薬剤としてはスミパイン乳剤、スミパインMC、マツグリーン乳剤等がある。
初夏から夏場の処理であるが初心者の方は散布時期や散布回数等を専門家に相談して欲しい。
(3)枯れた松樹の処理
ザイセンチュウによって枯れた松はカミキリムシが卵をその樹幹に産み付けている可能性が強く、伐採後の材木を放置すればそれが次年度の発生源になる可能性が強い。
伐採木は必ず焼却するか関係のない場所に運び出し、適切に処理して欲しい。
(造園連新聞17年12月1日付、 977号掲載) | <文と写真> (株)三共緑化 顧問 井村光男 |