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桜の「てんぐす病」

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 気象変動が大きかったためか昨年の桜の開花が遅れ、一斉に満開を迎えてしまった。
 桜は人気の高いソメイヨシノが多いので最近は「てんぐす病」に罹っている樹が目立ってきた。
 「てんぐす病」は小枝の先端部分細かく分かれて鳥の巣様に見える為、天狗の巣、「てんぐす病」と呼ばれている。
 ソメイヨシノやコヒガンザクラは特にこの病気に罹りやすい。病気にかかった枝は花がつかず、開花時期に小さな葉を沢山つけるので見栄えが悪い。

 「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言われているように、桜の枝は切らないのが常識で、この病気に罹るとその周辺の樹にも次第に広がっていくので景観上問題になるばかりでなく樹の寿命も短くなる。



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てんぐす病に罹ると枝の先端が細かく分かれ、
鳥の巣のような形状になる

 この病気は「かびの胞子」によって伝播する。開花する頃に病気に罹った枝に出る小葉の縁に、黒褐色の病斑ができる。またこの葉の裏面に白い粉状のものが出て、5月頃には落葉する。
 病斑に発生した胞子は花の散る頃から雨滴に混じって周囲に飛散し感染していく。このため、常に霧がかかる様な地形で、空気湿度の高いような場所は「てんぐす病」に罹りやすい。
 桜は地域のコミュニケーションの場でもあり、多くは並木路にもなっている。出来ることなら造園業の方が中心になって地域の美観を後世に残す努力をお願いしたい。


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葉上の病斑

防除


 今のところ、病気に罹った枝の根元(やや膨らみを持つ)から丁寧に切落とす以外に適切な防除方法はない。しかし、桜は切口から腐朽菌等が侵入し易く、枝が枯れ始める。酷くなると樹全体が駄目になる事もしばしばである。
 このため、できる限り枝は切りたくないが、枝切りをして、病気に罹った枝を焼却する必要がある。
 切口からの腐朽菌の進入を防ぐ為に、切口とその周辺にトップジンM水和剤を散布するか、トップジンMペーストや癒合剤等を切口に塗って欲しい。
 また、病気に罹った枝だけでなく、ひこばえにも病斑を見かける事があるので、ひこばえの除去も心がけてほしい。



(造園連新聞18年2月11・21日付、
 982号掲載)
<文と写真>
  (株)三共緑化 顧問 井村光男
一般社団法人
日本造園組合連合会
(略称:造園連)

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